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zoom RSS 風立ちぬ

<<   作成日時 : 2013/08/11 11:48   >>

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 宮崎駿監督の最新映画「風立ちぬ」を観てきた。主人公は子どものころから飛行機にあこがれ、後に零型戦闘機(ゼロ戦)を生み出した堀越二郎。彼が恋をし、結婚する相手が堀辰雄の小説『菜穂子』から名前を借りた「菜穂子」。題名の『風立ちぬ』も堀辰雄の同名小説からのもの。

 飛行機に憧れ、造りたいと願い、それを叶えるだけの天才を持ち一直線に努力を続ける二郎。その彼の才能を認め影に日向に応援する、こちらも優れた多くの上司、先輩、仲間たち。またドイツで先立って飛行機を編み出したカプローニも夢という形を借りて登場する。これらの人たちの情熱のこもった会話からは、一つの物を作り出すことに人生をかける素晴らしさが存分に伝わってくる。

 またもう一方で、堀越二郎の初恋(こちらは創作)も描かれる。関東大震災前夜の列車での偶然の出合いから、空白期間をおいて軽井沢で運命的な再会を果たす二人。その喜びは同時に、菜穂子の結核の発病という悲恋(?)を予感させるものだった。

 飛行機造りが動の動きとするならば、二人の悲恋は静の動きととれるだろう。さらに堀越らが進める飛行機造りが第二次世界大戦につながり、特攻隊の形で終わる悲劇も、画面に暗示された。

 「日本は貧しい。この貧しさの中で飛行機を造るようなぜいたくが許されるのか」(何度か悩む中で)
 「日本が壊れる」(飛行機が戦争につながる暗示に重ねて)
 「ドイツが壊れる」(同じく軽井沢で出会うドイツ人)
 「日本が壊れた」(戦後)

 台詞を通して、これらの言葉は深く記憶に残った。また映画のラスト、日の丸の描かれた戦闘機の残骸の山も。

 映画館の座席には小さな子どもも座っていたが、ふだんのジブリ作品とは味わいの違うこの作品をどう観るのだろうとちょっと興味を持っていた。

 どこまでも限りなく透きとおった青空。そこを飛ぶ美しい飛行機。その飛行機があっという間に空中分解してしまう姿。関東大震災による東京の壊滅的な悲惨さ。それでも立ち上がり、夢に向かってあきらめずに進む主人公の姿などなど。

 おそらくこの子どもたちも何かを感じていたのだろう。最後まで飽きもせず、ぐずりもせず食い入るように画面に向かっていた。

  Le vent se leve, il faut tenter de vivre.

 映画にも何度もでてきたフレーズだが、これはポール・ヴァレリーの詩の一節で、堀辰雄が「風立ちぬ、いざ生きめやも」と訳していた。昔、高校生だった私は小説『風立ちぬ』を読んだ時、こちらのヴァレリーのフレーズの方に、より夢中になったっけ。そこからヴェルレーヌ、アポリネールと広がっていったな。


 

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