父の夢

 昨夜、父の夢を見た。夢を見るのも珍しければ、目がさめて夢を覚えているのも珍しい。まして夢に父が出てくることなんてめったにない。どういう夢だったかというと・・

 父が文芸誌に詩を発表していたのだ。ただ1篇ではあったが、若き父が私を見ながら、「どうだろうか、その詩」と言ったのを覚えている。父はさらに続けて、「今の君は僕よりはるかにプロだから」とちょっぴり恥ずかしそうだったのだ!

 私は信じられなかった。そしてちょっぴり嬉しかった。ああ、父は私の努力を認めてくれているんだ。

 父は二十代でシベリアに抑留されていたとき、俳句を詠んでいたのを私は知っている。生まれてきた子どもたちのために「少年少女世界文学全集」と「少年少女日本文学全集」を全巻買い揃えてくれたことも。さして豊かな暮らしでもなかったのに・・

 もしかしたら、父には文学の夢があったのかもしれない。

 父が亡くなったときの年齢をすでに超えてしまった私が、夢からさめてそんなことを考えている。残念なことに、父の詩は覚えていない。

 
 

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