夏石番矢『犬50俳句』

 夏石番矢さんに『犬50俳句』をいただいた。

50句犬.jpg


 ハンガリーから出た句集で、50種類の犬をそれぞれ1句ずつ俳句に詠んでいる。

 素晴らしいのは犬それぞれの特徴が、容姿、特性、人間との関わりなどから浮かび上がるようになっていること。なおかつ、犬への愛情もそこはかとなく感じられる。

 この50句の中で私が気になったのは次の犬の句。

パピヨン.jpg

 風に乗るパピヨン裸婦たちの昼食  番矢

 パピヨンは蝶のこと。この犬の耳がまさに翅を開いた蝶そっくりだから、そう名付けられたのだろう。わかりやすいね。

 犬のパピヨンを連れて、草原で昼食をとっている婦人たちが思い浮かぶ。ピクニックができるほど、時間的にも金銭的にも裕福。まあパピヨンを飼えるほどだから、貴族に近いかもしれない。

 それで済めばどうということもない風景だが、「裸婦」の登場がなんともぎょっとさせる。
 
 ここで私が思い出すのは、マネの絵「草上の昼食」だ。この絵の裸体の女性はたぶん娼婦(高級)だろうが、裸であることをまったく恥じていない。むしろ挑戦的なまなざしだ。

 彼女のパピヨンはパトロンに買ってもらったものなのか。微笑ましいものと、生々しく卑猥なものとの対比。
 
 犬の日常がその名前に比べて、やや重く感じられるのも作者の力だろう。

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この記事へのコメント

Fujimi
2020年01月11日 22:26
すばらしいコメントです。